室内が「散らかっている」のは人の行為の痕跡でもある。「片付ける」とは、その痕跡を消すことだ。あたかも殺人犯が自分の使ったコップや灰皿を洗い、ドアーノブの指紋を拭き取るように……。こうして行為の痕跡を消し去った空間にはなんとなく人間味がない。ところが建築写真にはこの手のものが多いのですね。それがとくに住宅の内部の写真だと、私はいつも、整然と片付き過ぎた犯行現場に接した刑事のような不審の念を抱く。つまり犯人が片付けたな、と思うわけだがこの場合の犯人は写真家であり、建築家もそれに加担している場合が多そうだ。
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かく言う私も例外ではなく、自作の撮影では片付けたがる写真家に妥協してしまうのだが、それでもテーブルを囲む椅子をちょっと曲げてみたり、サイドーテーブルに雑誌をさりげなく開いておいたりする、というような提案をして、若干の抵抗をする。