ルールを明確化する必要がもっとも大きいのではないかと思われる、Iさんのケースをみてみよう。Iさんたちはもともと友人同士で集まってシェアを始めたのではなく、シェアに興味がある人たちがネットを通じて知り合い、意気投合して物件を探し始めたケースである。男女が混合しているという点でも、あらかじめ決めておく約束事は多いのではないだろうか。Iさんたちは、シェアメイトを決めてから入居までの間に、二週間以上メールでのやり取りをしながら、シェアに関するルールを文書化した「約款」を作成したという。
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約款には、家賃の分担、部屋割り、退居時のルール、来客時のルール、掃除の分担、冷蔵庫の使い方など、事細かに約束事が記載されていた。しかし、実際に住み始めてみると、ルールのほとんどは大して気にならないことが多く、実際に用いられているルールは五つ程度だという。そのルールは掃除に関するもので、ホワイトボードにマグネットで次のローテーションを示しておき、都合が悪くなったときは交替したり、掃除できない代わりにケーキを買ってきたりと柔軟に運用しているという。同様に、入居前に掃除のルールや家事の分担表を作ったものの、実際はまったく使わずに自然に「気になる人がやる」ルールに移行していったというケースもある。男性同士のシェアの場合は、最初から「気になる人がやる」ルールでスタートしている。これはいったい、どういうことなのか。こんなやり方でシェアは機能するのだろうか。